地域の歴史・文化・自然を次の世代につなぐことは、博物館の大切な使命です。
展示室では歴史資料のほか、豊田市に関連する地質、生息する生物の標本をみることができます。
資料は定期的に入替を行い、訪れるたびに新しい発見のある展示をめざします。
所蔵: 豊田市
タテハチョウ科の大型のチョウで、日本の国蝶にもなっています。オスの成虫は美しい青紫色をしています。幼虫は矢作川の堤防に多いエノキを食草としており市内にも生息していますが、動きの素早さも相まってなかなか見かけることはできません。
所蔵: 豊田市
「玉虫色」で知られる、体色の美しいタマムシ科の昆虫です。市内の多くで街路樹として植えられているケヤキを食べます。市街地にもたくさん生息していますが、高いところを飛んでいるため普段見かける機会は少ないかもしれません。採集する際は、低いところに降りてくるタイミングを狙ってみましょう。
所蔵: 豊田市
北アメリカ大陸原産の大型の淡水生のカメで、飼育や移動を規制する特定外来生物に指定されています。市内でも飼育遺棄されたと思われる個体が複数発見されています。本種に限らず、生き物は最後まで責任をもって飼育したいものです。
所蔵: 豊田市
海と川を行き来する魚で、日本から約2000kmも離れたマリアナ諸島付近の海で産卵をすることがわかっています。海のない豊田市ですが、市内の多くの河川にウナギが生息していることは、川と海の繋がりを示す証といえるでしょう。
所蔵: 豊田市
本州に生息するウシ科の哺乳類です。国の特別天然記念物に指定されています。全国的に個体数や分布が拡大しており、豊田市内でもよく見かけます。近年は、市街地への出没や農作物被害など、市内で色々な問題が生じています。
所蔵: 豊田市
本州、四国に生息する大型哺乳類です。愛知県下には生息しないとされていましたが、近年は豊田市内でも出没頻度が高まっており、定着の可能性が示唆されています。これからの動向が注目されます。剥製の個体は2020年に小原地区で捕獲されました。
時代: 明治後~昭和初期
所蔵: 豊田市
藤岡の竹本辰美太夫が所蔵していたもので、1985年に当時の藤岡町に寄贈されました。地域の民俗芸能に欠かせない歌舞伎衣裳として、また衣裳の美しさを伝える工芸資料として貴重なものです。写真の資料は、そのうちのひとつで、歌舞伎では武家のお姫様や大名の奥方、傾城(遊女)の役などが着る「かけ」と呼ばれる衣裳です。
時代: 昭和30年代
所蔵: 豊田市
昭和30年代に流行した洗濯機です。その名の通り、取っ手を手で回して洗濯します。洗濯部分が丸い球体の形をしているのは、その中に40℃のお湯と洗剤を入れて回すことで、遠心力による圧力を生じさせ、洗剤成分を汚れに染み込ませるためです。電気洗濯機の登場により、10年ほどで姿を消してしまいました。
時代: 江戸時代(復元:現代)
足助地区の有力商家であった小出家で、1801(享和元)年に行われた結婚式の献立表をもとに、足助地区在住の料理人の方々と考証を行い、復元・模型化したものです。「フナ」や「鯉」といった川魚はもちろんのこと、「エビ」や「鯛」など海でとれる食材も名を連ね、当時の結婚式の豪華さがうかがえます。
時代: 弥生時代後期
所蔵: 豊田市
1971年に豊田市手呂町で発見された銅鐸で、高さ98cmと愛知県内でも最大級の大きさを誇っています。三河と遠江を中心に東海地方に広く分布する三遠式銅鐸と呼ばれる種類で、弥生時代後期頃のものと考えられています。
時代: 縄文時代中期
所蔵: 豊田市
曽根遺跡は豊田市森町に所在する遺跡で、縄文時代中期後半(約5,000~4,500年前)頃の竪穴建物跡などが見つかっています。出土遺物のうち、竪穴建物跡から出土した4点の土器と、石皿・磨石・大形石棒・磨製石斧各1点が市指定文化財となっています。
時代: 古墳時代後期
所蔵: 豊田市
豊田大塚古墳は豊田市河合町に所在する、墳長50m前後の帆立貝式古墳で、6世紀前半に築かれました。6世紀以降の後期古墳としては西三河最大規模を誇り、装飾須恵器をはじめとして、青銅鏡や玉類など400点以上の出土品が国重要文化財に指定されています。造形豊かで洗練された装飾須恵器は、全国の須恵器の代表として、高校で使われる日本史の教科書にも掲載されています。
時代: 江戸時代
所蔵: 豊田市
渡邉半蔵家10代の規綱自作の黒茶碗です。自在なヘラ使いや、黒釉のベースに朱が鮮やかに発色した朱釉など、見所に富む茶碗です。規綱は、裏千家11代家元・玄々斎宗室の実兄で、20歳代で隠居後、渡邉家を後見するとともに茶の湯に深く傾倒しました。
時代: 江戸時代
所蔵: 豊田市
縦1.8m、横3.8mの巨大な絵馬です。旭地区牛地町の駒山山頂部にある小馬寺に奉納されていました。遠景に連峰や山岳を、手前に老松と桜を配しています。草原には馬が群棲しており、650匹程度が数えられます。この地域で馬匹産業に従事した人々が、その繁栄を願って描かせ、奉納したと考えられています。
時代: 平安時代末期
所蔵: 猿投神社
猿投神社に伝世する太刀で、平安時代末期に薩摩国(鹿児島県)の波平派の刀工・行安によって作られました。同派の作品としては現存最古のものです。鎬造で腰反りが高く、直刃調の子乱れの刃文とあいまって、優美な印象を与えます。
時代: 江戸時代
所蔵: 豊田市
延宝期(1673~81年)、衣町が幕府領であったときに描かれた絵図といわれ、堀で囲まれた屋敷(後の挙母城)を中心に、町が形成されていたことがわかります。家数440軒以上が確認できます。
時代: 江戸時代
所蔵: 豊田市
長篠・長久手合戦図屏風は、尾張藩付家老であった犬山城の成瀬家に伝わったものが有名で、江戸時代に多くの大名が写本を作成しました。この屏風もこうした写本のひとつですが、寺部を治めた渡邉家の初代・渡邉半蔵守綱の活躍を強調して描いているところが特徴です。渡邉家は、尾張藩の重臣で、成瀬家から養女を迎えています。このような両家の関係を知る資料としても貴重な屏風です。
時代: 明治時代
所蔵: 豊田市
挙母藩士であった牧野敏太郎が、幕末に見た記憶をもとに七州城の様子を描きました。付属する図説には、城下の建物の由来等が記されています。牧野敏太郎は、洋画家として著名な牧野義雄の兄です。
時代: 江戸時代
所蔵: 守綱寺
渡邉半蔵守綱は、徳川家康に仕え、のちに尾張徳川家の重臣として寺部を治めた武将。徳川十六将にも数えられ、「槍の半蔵」と呼ばれました。寺部には、渡邉家家臣の家の長屋門が現在も残されています。
時代: 安土・桃山時代
所蔵: 長興寺
信長の一周忌に、その家臣・余語久三郎正勝によって長興寺へ奉納された肖像画。作者は狩野永徳の弟・宗秀です。信長が身に着けている桐の紋が入った肩衣と白綾の小袖は格式の高い衣裳であり、信長の風貌は生前の姿をよく表しているといわれます。