豊田市博物館

館長あいさつ

豊田市博物館は市の中心市街地に接する高台に、豊田市美術館と並び建つかたちで2024年4月に開館しました。ここは江戸時代に挙母藩内藤家の居城(七州城)があり、また明治以降は小学校(現童子山小学校)や挙母高等女学校(現豊田東高等学校)が建てられたところで、豊田市の歴史と文化を継承する博物館にふさわしい場所でもあります。国際的に活躍されている建築家・坂茂氏による博物館の建物は、そこに市民が集い交流する21世紀の博物館にふさわしい、明るく開放的な空間を特徴としています。それはモダニズムの名建築として知られる谷口吉生氏による豊田市美術館と、絶妙なコントラストと調和を生み出しています。ランドスケープ建築家として知られるピーター・ウォーカー氏によってデザインされた両館の庭園とともに、この二つの建物を体験していただくだけでも十分にご満足いただけることと思います。博物館の庭園には「むかしの家」を中心に「観察池」や「どんぐりの森」など、さまざまな体験と観察の場が配置されています。

豊田市博物館の運営のコンセプトは「市民とともにつくり続ける博物館」。博物館には幅広い人々が集い、交流し、さまざまな活動をとおして「地域のあゆみをうけつぎ、その魅力をさぐり、豊田市の人と未来をつくる」ことをめざしています。具体的には、博物館活動の基本である資料の収集、保存、調査研究はもとより、えんにち空間での展示などの事業にも「とよはくパートナー」をはじめとする市民の皆さまに、さまざまなかたちでご参加いただきます。常設展は「とよたの自然の人々の営み」をテーマに、「とよた」にかかわるモノや人々の記憶の展示を通じて、ご来館の皆さまが「とよたに出会い、対話し、探究していただく」ことができるようにしています。また、幅広いテーマによる企画展を開催し、国内外の歴史や文化、自然の特質や魅力にも触れていただけます。博物館では、教育現場による活用を重視し、学校との連携をはかりながら、豊田市の児童生徒が授業で博物館を利用できるように体制を整えています。また、一般の方に幅広くご参加いただけるイベントなどを開催し、市内外の皆さまが気軽に博物館を訪れ、楽しんでいただけるようにしてまいります。これらの活動を通じて、豊田市民の皆さまにとってはアイデンティティの拠り所として、そして市外からのお客さまには、「とよた」の特徴とその魅力に触れていただくことができる拠点となっていきたいと思っています。豊田市博物館は、前身の豊田市郷土資料館、豊田市近代の産業とくらし発見館をはじめとする市内各地域の施設がここに合流し、そして未来へ、市民の皆さまとともに新しい流れを創り出していく場でありたいと願っています。皆さまのご来館とご利用を心よりお待ちしています。

2024年4月
豊田市博物館 館長村田 眞宏